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アイルランドとリーマンショック

アイルランドは大西洋の北東部に位置した人口約450万人の国です。
 その大半は敬虔なキリスト教徒、そしてアイルランド人はアイリッシュと呼ばれています。
 アイルランド人の先祖はケルト人、白人ではありますが、お隣のイギリスとは人種が違います。それでイギリスの植民地でもあったことから、アイルランドの人々は反英感情を抱いています。

 小規模国家で産業は乏しく、かつては農産物ではジャガイモと放牧を中心とした貧しい国でありましたが、160年くらい前にその基幹作物のジャガイモが疫病に襲われる「ジャガイモ飢饉」が起きました。
 この飢饉により約100万人の餓死者が出ました。そして150万人ほどの人々はアメリカ大陸へ移住をされたのです。

 彼らはアメリカに移住するとき、一旦イギリスのリバプールに立ち寄ってから、アメリカ大陸へと渡っていったそうですが、反英感情を抱きながらもその地に土着したアイルランド人もいたそうです。
 そして、そのような中から生まれた有名人にビートルズや、ウォルトディズニーがいるそうです。

 それでビートルズが女王陛下からサーの勲章を授与された話は有名ですが、そのときジョン・レノンは反英的にイギリス人の受勲者に対して以下のように感想を述べたそうです。

 「私たちは世界の多くの人々に喜びを与えたことによって勲章をいただいた。しかし、イギリスの受勲者は世界の多くの人々を殺したことによって与えられた。」・・・と。

 このような発言から見てアイルランド人全体は反英感情を持っています。それでジャガイモ飢饉によって祖国を捨てなければならなくなってしまったとき、僅か70km向こうにはイギリスがあるにも拘らず、彼らはそこに救いを求めずにアメリカ大陸へとかすかな希望を持って渡りました。
 
 アイルランドは貧しい国でありました。そんなアイルランドが急速に経済成長を遂げるようになったのは1990年代に入ってからのことでした。
 EU統合やアメリカなどへの金融投資により外貨を獲得し、世界においても最も経済成長を成し遂げるほどの勢いを見せたのです。

 その経済成長に翳りが見え始めたのが、サブプライム問題が起きた頃でした。一方そんな時期に欧州諸国ではEU新基本条約調印に向けての新たな動きが始まりました。
 当初に言われた「EU憲法」という名称を改めて、その代替策として、「条約」という名に言い換えられたのです。
 それで欧州各国では批准へ向けた動きとなり、2009年1月にはEU大統領職が創設され新体制に移行する計画で進められてきたのです。
 ところが、その頃よりアイルランドが批准するかどうかについては疑問視されていたのでした。
 そして、昨年6月、アイルランドは国民投票の結果からEU条約を否決しました。
 サブプライム問題で経済的には大きな打撃を蒙りながらも、アイルランド国民の感情としては、その思想的な相違から受け入れることが出来なかったのです。

 ・・・そしてそれから3ヶ月後、リーマンショックが起きるのです。

 このリーマンブラザースの破綻は世界的な経済不況を招きましたが、アイルランド国内においては死活問題となったのです。

 あたかも「溺れる者は藁をも掴む」という言葉のように、アイルランドはそのときから自国の思想的な主張の見直しを開始しました。そうしなければ、経済的にアイルランドは生き残ることが出来なくなってしまったからです。
 そして、その結果が再国民投票での批准合意でありました。

 ・・・このような欧州においての歴史上初の取り組みへと向けた流れの中で、それぞれの国の主張を一つに向けることは、相当な困難を要します。しかし、リスボン条約への道筋はあくまでも合法的というか、表向きは傲慢な力によるものではなく、合意することが最善策であるかのようにゆっくりと着実に推し進められてきたかのようです。

 それが自然の流れなのか、それとも作為的な演出なのか。
 それは誰にもわかりません。

 しかし、時代は大きな変化を見せています。そして、歴史的なクライマックスの時代を私たちは生かされているかも知れないのです。
 

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コメント

ジャガイモ飢饉時にはイギリスは助けなかったどころかアイルランドから小麦、ジャガイモの輸入をしていました。
基本的には不在地主でした。ので当然かも知れませんね

投稿: | 2010年10月 7日 (木) 13時08分

ずっと更新していなかった、といいますか、放置していてコメントいただいていたことに気付きませんでした。

コメントいただき誠にありがとうございました。
申し訳ありませんでした。

投稿: げんき | 2010年11月 7日 (日) 18時14分

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